【中編】覚えておくべきAccessオプション設定

入門講習

覚えておくべきAccessオプション設定の前編からの続きです。

本記事ではAccessのオプションについて、「データシート」から「言語」までを解説します。今回も設定項目自体はものすごく多いですが、1項目づつ丁寧に解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

なお、オプションの基本事項などは前編は記事をご覧ください。

項目数が多いため後編はさらに分割です。[クライアントの設定]はこちらで解説しています。

オプションの設定方法・設定内容

データシート

枠線とセルの表示/規定のフォント

テーブルを「データシートビュー」で開いた際の表示方法をカスタマイズするための設定項目です。あくまで見た目だけの変更ですので、自分の好みに合わせて色々と調整してみるのも良いでしょう。

ただし、複数のユーザーが利用することを前提とする場合は、客観的に見てわかりやすい設定にしておくことが大切です。その意味では、シンプルなデフォルト設定が無難でおすすめです。

各項目の値を変更した際の見た目の変化は、以下のとおりです。

ちょっと極端な例ですが、割と変化しますね

変更内容を反映するには、一部Accessと閉じて再起動してください

オブジェクトデザイナー

テーブルをデザインする場合の規定値を設定するオプションです。

テーブルデザインビュー

既定のデータ型

テーブルのデザインビューで、各フィールドに初期値として反映されるデータ型を設定します。デフォルトでは「短いテキスト」となっており、テキスト型の使用率が高い場合はそのままで問題ありません。

なお、データシートビューでテーブル作成を行う場合は、本設定は適用されません。データシートビューでテーブルを作成する場合は、フィールドに入力されたデータを、Accessが判定し、適切なデータ型を自動で設定してくれます。

以下はオプションとは関係ありませんが、参考としてデータシートビューのテーブル作成について触れたものです。

作成メニューから「テーブル」をクリックすると、データシートビュー(データを表示するモード)が始まります。当然ながらまだ1件もデータが存在しません。

フィールド名も決まってませんが、こんな感じでデータを入力していくと…

入力したデータに合わせたデータ型が設定されました。デザインビュー以外でもこういった形でテーブルを作成していくことができます。

テキスト型のフィールドサイズ/数値型のフィールドサイズ

データ型を「短いテキスト」または「数値型」に設定した場合は、格納可能なデータサイズを指定する必要があります。このオプションは、初期値として適用される値を設定することができます。
デフォルトで「短いテキスト」は「255」文字、「数値型」は「長整数」として設定されています。

なお、「短いテキスト」の「255」は格納可能な文字数の上限を意味します。データサイズを設定する際には、不要に大きなメモリ領域を消費しないよう、必要最小限の範囲に収めるのが基本です。もし最大文字数まで必要ない場合は、適切な文字数に調整することを検討してみましょう。

データ型の詳細に関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。

インデックスを自動作成するフィールド

このオプションに指定したフィールド名には、自動的に「インデックス」が設定されます。
初期設定では、「ID」「キー」「コード」「番号」の4つのフィールド名が登録されています。

主キー以外にも、外部キーや検索対象として使用するフィールドが複数のテーブルに存在する場合は、あらかじめフィールド名を登録しておくことで、毎回個別にインデックスを設定する手間を省くことができます。

インデックスに関しては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

「[プロパティの更新オプション]ボタンを表示する」

フォームやレポートのデザインビューで、コントロール(テキストボックスなど)のプロパティを変更した際に、同じ変更を他のコントロールにも反映させるかどうかを提案する機能です。

ただし、この機能はAccessのバージョンによっては正常に動作しない場合があります。具体的には、Access 2013以降で「スマートタグ」機能が廃止されたことにより、この機能も事実上無効となっています。

デフォルトでは有効化されていますが、Access 2013以降では後方互換のために設定項目だけが残っており、実際には機能していないと考えられます。使用しているAccessのバージョンによって挙動が異なるため注意してください。

Accessのオプション設定って、結構こういうのが多いです

クエリデザイン

テーブル名を表示する

クエリのデザイングリッドに「テーブル」を表示するか、非表示にするかを切り替える設定項目です。

オプション設定 オブジェクトデザイナーの「クエリデザイン」設定

OFFにすると見た目がすっきりしますが、複数テーブルに同名フィールドが存在すると混乱しますので、デフォルトのままONで問題ないでしょう。

すべてのフィールドを表示する

クエリのデザインビューにおいて、フィールドリストにテーブル等を追加した場合に、そのテーブルのすべてのフィールドが表示されるかどうかを制御するオプションのようですが、実際に検証してみたところ、ON/OFF両方の動作に変化が感じられませんでした。

実質的には機能していないと思われます。デフォルトではOFFになっていますので、そのままで問題ないでしょう。

フィールドの自動結合

クエリのデザインビューにおいて、テーブルやクエリを追加した時点で、結合線を自動的に結ぶかどうかを設定するオプションです。

結合線が自動的に結ばれるケースには、このオプションをONするほかに、リレーションシップを設定する方法があります。

  • リレーションシップ
    本オプション設定がOFFでも、リレーションシップを設定した場合は自動で結合されます。
  • フィールドの自動結合をON
    フィールドの自動結合をONにし、かつ次の条件を満たす場合は結合線が自動で結ばれます。
    ・同じフィールド名を持つフィールドが両方のテーブルに存在する
    ・それらのフィールドのデータ型とサイズが一致している 

画像で表すと、以下のイメージです。

クエリの結合線が自動接続されるパターン

優先はリレーションシップに基づく接続で、このオプションは、リレーションシップがない場合の「補助的な自動結合機能」と考えると良いでしょう。

クエリデザインのフォント

クエリのデザインビュー及びSQLビューで表示されるテキストのフォントとサイズを設定します。

個人の好みに合わせて、クエリのデザインビューでの視認性を向上させるために使用します。特に、小さな画面で作業している場合や、老眼などで文字が見えにくい場合に、大きなフォントサイズを選択すると便利です。

SQLサーバー互換構文(ANSI 92)

クエリの「SQLビュー」で生成されるSQL構文が、Microsoft SQL ServerのSQL構文(ANSI-92)にどれだけ近づけるかを制御するオプションです。

そもそもSQLには標準的な規格として「ANSI-89」と「ANSI-92」があります。

SQLの標準規格とは

多くのデータベース管理システムで互換性を持てるように定められたものです。

  • ANSI-89
    1989年に発表された最初の公式なSQL標準規格。
  • ANSI-92
    1992年に発表された、ANSI-89を大幅に拡張・改善した標準規格。

Microsoft SQL Server では、基本的に「ANSI-92」準拠の SQL 構文が使用されます。このオプションでは、ON にすると「ANSI-92」形式、OFF にすると「ANSI-89」形式の SQL 構文が生成されます。デフォルトでは OFF になっているため、通常は「ANSI-89」ベースで理解しておいて問題ありません。

ただし、Access で ADO を扱う場合は、「ANSI-92」準拠の構文が前提となります。なお、「ANSI-92」では使用するワイルドカードの文字が「ANSI-89」と異なりますので、ご注意ください。

フォーム/レポート デザインビュー

ドラッグによるコントロールの選択

フォーム/レポートに配置したコントロールをマウスで選択する際の動作を制御するオプションです。次の選択肢の一方を選択する必要があります。

  1. 一部を囲んだときに選択(デフォルト)
    マウスでドラッグしてコントロールの「一部」が囲まれただけでも、そのコントロールが選択されます。つまり、選択範囲の中にコントロールの一部でも入っていれば選択対象となります。
  2. 全体を囲んだときに選択
    マウスでドラッグしてコントロールの「全体」が完全に囲まれた場合にのみ、そのコントロールが選択されます。選択範囲の中にコントロール全体が収まっていないと選択されません。

1は選ぶのが楽ですが、意図しないものも選択される可能性があり、2はしっかり全体を囲む必要があります。割と好みの問題かもです。

フォームテンプレート/レポートテンプレート

新しいフォームを作成する際に、ここで指定したフォーム(レポート)を「テンプレート」として使用することができます。ただし、すべての要素が新しいフォーム(レポート)に引き継がれるというわけではなく、背景色やプロパティ設定は引き継がれますが、コントロール(テキストボックスやイメージ等)は反映しないようです。

設定方法は、事前に作成したテンプレート用のフォームを、直接テキストボックス内に入力すればOKです。下記サンプル画像では、「フォームテンプレート」という名前のフォームを指定してみました。

常にイベント プロシージャを使用する

フォーム(レポート)の「イベント」を設定する際の挙動を制御するオプションです。ON/OFFを切り替えることで、以下の制御が行われます。

  • ONにした場合
    各イベント右端のビルドボタン[…]をクリックした場合、VBE(Visual Basic Editer)が起動します。常にVBAを使用する場合は、こちらの設定をONにするとよいでしょう。
  • OFFにした場合
    各イベント右端のビルドボタン[…]をクリックした場合、「ビルダーの選択」画面が表示されます。

デフォルトはOFFとなっていますので、都度、マクロやVBAを使い分ける場合はそのままでOKです。

フォームおよびレポートのデザインビューでのエラーチェック

フォームやレポートのデザインビューで発生するエラー項目をチェックできるオプションには、次の6種類があります。

  • エラーチェックを行う
  • 関連付けられていないラベルとコントロールをチェックする
  • 関連付けられていない新しいラベルをチェックする
  • ショートカットキーのエラーをチェックする
  • 無効なコントロールプロパティをチェックする
  • 一般的なレポートのエラーをチェックする

実際にどのようなエラーが検出されるかについては、現時点では不明な点も多いです。

例えば

  • ラベルとコントロールの関連付けは、複数パターンでテストしてもエラーが発見されませんでした。
  • ショートカットキーやプロパティのエラーについても、チェック範囲が広すぎて意図的にエラーを出すのが難しい状況です。

とはいえ、デフォルトではすべての項目が ON に設定されているため、特に調整せずそのまま利用するのが現実的でしょう。設定を変更する必要がある場合は、実際に行う作業やテストの目的に応じて、注意深く判断することをおすすめします。

文章校正

オートコレクトのオプション

テーブルに入力したデータを、設定した内容に自動的に修正してくれる機能です。入力ミスの修正に役立ちます。

WordやExcelなど他のOfficeアプリケーションにも共通して搭載されている機能ですね!

デフォルトでも数多くのパターンが登録されていますが、新規で登録することも可能ですので、タイピングの癖などで間違いやすい文言があれば、登録しておくことで正確性が向上するでしょう。

Microsoft Office プログラムのスペルチェック

Accessを含めたOffice製品には「スペルチェック」という機能があります。これは現在開いているオブジェクト(テーブルやクエリ等)に対して、スペルミスと思われる文言を自動検出してくれる機能です。

例えば、下記サンプル画像では、「曜日」フィールドに「Mondau」と誤入力した状態でスペルチェックを実施した結果、スペルミスの自動検出が作動し。修正候補一覧から「Monday」に修正する流れを示しています。

このオプションは、「スペルチェック」機能の動作を制御するもので、主にはスペルチャックから除外するケースの有効/無効化を行います

例えば「すべて大文字の単語は無視する」をONにすることで、「MONDAU」と入力してもスペルミスの自動検出は行われません。

デフォルトでは全項目がONになっており、チェックを無視する設定になっていますので、必要に応じて設定変更を検討するとよいでしょう。

言語

Officeの表示言語

Access上で表示される言語を設定するオプションです。デフォルト設定は日本語になっていますが、「言語の追加」により、選択した言語をインストールすることで外国語を追加することができます。

例えば、英語に設定した場合は、メニューなどもすべて英語になります。

複数の言語を追加した後は、優先順位を変更(「上に移動」「下に移動」で変更)することで、スムーズに言語を変更することができます。

なお本設定により言語を変更した場合は、Accessだけではなく、他のOffice製品(Word.Excel等)全て対して変更が適用されます

Officeの編集言語と校正機能

前述「Officeの表示言語」が、Accessのメニュー表示等に関する言語設定だとすると、こちらはテーブルに格納するデータ等に関する言語設定機能です。

具体的には前述した校正機能(スペルチェック、文章校正、オートコレクトなど)を行ううえでの、ベースとなる言語を選択するものとイメージしてください。

多言語環境で作業する場合(例:日本語のOfficeを使っているが、英語のレポートも作成する)は、表示言語は日本語のままで、編集言語に「英語」を追加して利用することが一般的のようです。

まとめ

Accessのオプション設定の全解説として、「データシート」「オブジェクト デザイナー」「文章校正」「言語」の4項目を解説いたしました。

割と使い勝手を左右するような項目が多いと思いますので、色々と設定をいじって自分好みのカスタマイズを見つけていただければと思います。

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