Accessは、中規模程度の業務を効率化するためのツールとして最適です。特に手作業で行っている業務や、ExcelからAccessへ切り替えることで、劇的な効果を発揮するケースが多いです。
本記事では、なぜAccessを使用することが効果的なのか、そして実際にAccessの活用が向いている業務を、10業務ご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Accessを活用するメリット
中規模程度の業務の改善を行うにあたり、Accessのどういった点が向いているのか6点で解説します。
- 特別な環境構築が不要!導入へのハードルが低い
- オールインワン!開発ツールとして有能
- 複数人への共有がしやすい
- データの一元管理が得意
- カスタマイズの柔軟性
- Office製品との連携
特別な環境構築が不要!導入へのハードルが低い
多くの会社の業務用PCには、OfficeアプリケーションのWordやExcelに加えて、Accessがインストールされていることが多いです。Accessを活用した業務改善は、このAccess単体で実現でき、基本的にサーバー構築や高価なソフトウェアは必要ありません。もしAccessがインストールされていない場合でも、開発者分のライセンスのみを購入し、ユーザ用として無償の「Access Runtime」を導入することで、いずれにしても低コストで導入できます。
このように、特別な環境構築が不要なAccessは、導入のハードルを大きく下げ、手軽に業務改善を始めることができます。
オールインワン!開発ツールとして有能
Accessはデータベースアプリケーションとして知られていますが、実は優れた開発ツールとしての側面も持っています。OracleやSQL Serverといった本格的なデータベースを利用する場合、データ入力画面(フォーム)の開発や帳票(レポート)の作成には、通常、専門のツールやプログラミング言語が必要です。しかし、Accessにはこれらのフォームやレポートを作成する機能が標準で搭載されています。
必要な機能が一つにまとまっているため、Accessだけで開発が完結する手軽さが、導入や活用における心理的なハードルを下げてくれます。
複数人での共有がしやすい
どのような業務においても共通して言えるのは、仕事は一人で完結せず、多くの場合、複数人との連携が不可欠であるということです。もしそのような業務にExcelを使用している場合、データをリアルタイムに共有するには煩雑な手間が発生します。Accessはデータベースであるため、複数人による同時編集や参照が可能であり、より広範な業務に対応できます。例えば、進捗状況をリアルタイムに共有したり、複数担当者が同じデータに同時にアクセスして作業を進めたりといった活用が可能です。
こうした観点からも、データ管理をExcelからAccessへ切り替える意義は大きいといえます。
データの一元管理が得意
顧客管理をはじめとする様々な業務おいて、「登録されている情報が重複していない」というのが、基本的な前提条件と言えます。
例えば、Excelのシートに顧客リストを作成する場合、誤って同じ情報を二重に登録してしまう可能性があります。一方、Accessのテーブルには主キーという仕組みがあり、これによってデータの一意性が保証されるため、データの一元管理という点においては、Accessを選択する方がより適切と言えるでしょう。
カスタマイズの柔軟性
業務改善のために、市販のアプリケーションを導入するケースも多く見られます。しかし、業務内容は会社ごとの独自のルールや運用によって大きく異なるため、市販のアプリケーションでは細かな部分で業務とのずれが生じることがあります。
そこで、自社に合わせたツールを独自に開発するという選択肢が出てきますが、Accessは前述の通り、手軽に開発を始められるだけでなく、VBA(Visual Basic for Applications)を活用することで、柔軟な機能や仕組みを構築できます。これにより、業務効率の大幅な向上が期待できるでしょう。
まさに、それぞれの業務に最適化されたカスタマイズ性こそが、Accessの最大の強みと言えます。
Office製品との連携
前述の通り、多くの会社の業務用PCにはOffice製品がインストールされていると思いますが、AccessはExcelやOutlookといった他のアプリケーションとの連携機能も豊富です。例えば、Accessに蓄積されたデータをエクスポートして、Excelでより高度なデータ集計や分析を行ったり、AccessとOutlookを連携させて、特定の条件に基づいてメールを自動送信したりといった様々な処理が可能です。
既に導入されているOffice環境を最大限に活用できるという点からも、Accessを基点として業務用のツールを開発するメリットは大きいと言えるでしょう。
Accessを採用しないケース
大量のデータを扱ったり、多数のユーザーによる同時データ共有が見込まれる場合、あるいは遠隔地の拠点間でデータを共有したいといった場合には、Access単体での活用は避けるべきでしょう。このようなケースでは、OracleやSQL Serverといった、より堅牢で同時アクセス性能に優れたデータベースを利用するのがおすすめです。
もちろん、上記の条件であってもAccessでシステムを構築することは技術的には可能ですが、開発の難易度が高く、運用面でも常にデータ破損やパフォーマンス低下のリスクを抱えることになります。
業務要件を明確に洗い出した上で、最適なソフトウェアを選択することが重要です。Accessは手軽で便利なツールですが、その特性を理解し、適切な規模や用途で活用するようにしましょう。
具体的な業務活用例
これらを踏まえ、Accessでの業務ツール開発事例をご紹介します。
顧客管理
顧客情報は一元管理が基本であるため、Access向きの業務です。
《業務アイデア》
顧客の基本情報(顧客名、住所、連絡先等)の他に、連絡履歴や購入履歴などを一元管理することで、顧客管理の効率化を図ることができます。顧客管理マスタデータを、後述する販売管理と組み合わせると、更に規模の大きな情報管理につながります。
販売管理
Accessは、取引先への見積書や請求書の発行、入金データの消込、売上データの集計といった、煩雑な販売業務の効率化にも向いています。
《業務アイデア》
入力フォームから取引内容を登録することでデータが蓄積され、そのデータを活用してレポート機能で請求書などを容易に印刷できます。さらに、入金データとの照合による消込作業も一括処理で行うことが可能です。これらの機能により、手作業によるミスを減らし、業務時間を大幅に削減できる可能性があります。
社員管理
社員情報は一元管理が基本であるため、Access向きの業務です。
《改善事例》
自社社員の基本情報(社員名、採用年月日、所属、役職、メールアドレス等)の他に、昇進・昇給履歴や人事異動情報、保持資格などを一元管理することで、社員管理の効率化を図ることができます。ただし、十分な個人情報保護対策を講じることが必要で、アクセス権限の設定など、適切なセキュリティ対策を盛り込みましょう。
タスク管理
リアルタイムに更新された情報を複数人で共有することも、Accessでは可能です。
《改善事例》
Accessで入力フォームを作成し、タスクの内容、担当者、対応期限、完了日などを登録することで、進捗状況を一元的に管理できます。対応期限が近づいたタスクを画面上にアラート表示させたり、ガントチャートのような形式で視覚的に管理することも可能です。さらに、完了したタスクのデータは別のテーブルに自動的に移動させるなど、管理テーブルから不要な情報を整理し、効率的にタスクを管理する仕組みを構築できます。
在庫管理
商品、備品、消耗品といった「在庫」の一元管理も、Access向きの業務です。
《改善事例》
Accessで専用の入力フォームを作成することで、誰でも簡単に入庫や出庫の登録を行える仕組みを構築できます。これにより、在庫状況がリアルタイムに自動更新され、在庫数が少なくなった場合には、画面上に補充が必要なアラートを表示させるなど、工夫次第で様々な業務効率化を実現できます。
日報管理
複数社員のデータ入力結果を、集約・分析することも、Access向きの業務です。
《改善事例》
業務種別マスタと日報記録のテーブルを用意し、入力フォームから日々の業務日報を各自が入力するようなイメージです。入力・蓄積されたデータをクエリで集計することで、会社の業務ウエイト割合や、個人の業務能率など様々な業務判断に活用できるでしょう。
ドキュメント管理
大量の書類(ドキュメント)を扱う業務であれば、管理にAccessを導入してみましょう。
《改善事例》
各拠点から送付される支払関係書類などに受付番号を付与し、入力フォームから受付登録することで、ドキュメントの紛失防止や進捗管理を行うことができます。。各書類にバーコードラベルなどを貼付できると、さらなる効率化につながるでしょう。
車両管理
車両情報は一元管理が基本であるため、Access向きの業務です。
《改善事例》
車両の基本情報、利用履歴やメンテナンス履歴を一元管理することで、今誰がどの車両を使用しているかリアルタイムに把握できますし、メンテナンス実施日を保持することで、次の定期メンテナンス時期も自動で把握することができます。また、事故履歴等が永続的に記録されていれば、後任社員も問題なく情報把握することができます。
アンケート管理
Googleフォーム等を活用したアンケート結果を集計する作業でも、Accessは有効です。
《改善事例》
Googleフォームでは集めたデータをエクスポートし、そのデータをAccessで取り込み、クエリによる様々な条件でデータ抽出や集計を行うことが可能です。また、集計結果をまとめたレポートも連動して作成することができますので、様々な工程での作業負荷を軽減することができるでしょう。
図書管理
図書管理のようなモノの貸し借り管理もAccess向きの業務です。
《改善事例》
誰が、何を、いつ借りたかというデータ入力をフォームから行うことで、貸出管理を行うことができます。返却期間が超過したものは画面上のアラートを出したり、督促メールなども自動的に送信するよう実装可能です。また、これらのデータを蓄積することで、貸出回数の多い本や、返却超過した人を把握することができるので、様々な対応に生かすことができます。
まとめ
今回はAccessを活用してすることが向いている業務を10業務ご紹介しました。
多くの業務に共通しているのは、「一元管理」「データ蓄積」「複数人使用」「フォームやレポートの活用」といった冒頭でご紹介したAccessのメリットを生かした活用事例だと思います。ぜひご自身が担当している業務に置き換えて、改善に生かせるか検討してみてください。


